離婚のいろは・・・離婚は4種類あります。
1.協議離婚(行政書士の関与・・・「離婚協議書」という意味・・・OK)
2.調停離婚
3.審判離婚
4.裁判離婚
1 の裁判離婚の際に考えること
* 計画的な離婚のすすめ・・・生活の安定を考えよう。
・ 離婚後の住居・・・賃貸住宅を借りるにしても、保証人が必要で、家賃の支払い能力があるかどうかを審査されるのが通常。専業主婦がいきなり賃貸住宅を希望もしても実際には困難と思われる。無職で収入もない状態では貸してくれるところは期待できない。
・住宅ローン・・・若年層の離婚では、ローン残高が多いので「負の財産」となっていることが多い。ローン支払いが夫名義になっている場合は、夫がそのまま支払いを続けていくという約束をすることが無難。ローンの支払い義務者を変更できるかどうかは、銀行などともよく話をすることが必要。
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仕事
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専業主婦は家事労働に徹しており、社会にでても即戦力として稼げる人はごく少数。多くは子育てなどもあるので、アルバイトやパートに従事することになる。離婚を考えた時点で資格試験勉強を始めている人も多いが、それが実際に即収入になるとも限らず(むしろ、稼げる人はラッキー)、離婚後は経済的に困窮することを覚悟せざるを得ない。
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子供の養育
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子供がいる夫婦が離婚するときは、子供の姓(氏)の問題や、親権の問題を決める必要がある。特に、親権はどちらかに決めないと離婚できない。これに関しては5に譲る。
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税金・医療保険・年金
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案外見落としがちな点である。年金は、年金分割の開始の話もあって盛り上がっているが、今までの分も全部まとめて2分の1が確保されると誤解している人が多いので、その点の説明を必ずするようにしている。
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夫が会社員で妻が専業主婦だった場合、現行制度では夫の老齢基礎年金を除く老齢厚生年金部分はすべて夫のものだった。そのため、妻が受け取れるのは、妻自身の国民年金による老齢基礎献金のみで、かなり小額である。2004年4月の年金改革法案の成立によって、婚姻期間中に支払った厚生年金などの受給権を夫婦で分割できるようになった。
これにより、妻は夫の老齢厚生年金の上限50%まで請求が可能になった。
ただし、この制度が利用できるのは2007年の4月以降に離婚した夫婦が対象。2008年4月からは、夫の厚生年金(報酬比例部分)のうち、婚姻期間相当分については自動的に半額が受け取れる。
生活について思い描くことができたら、「財産分与」と「慰謝料」のお話を始めます。
A 慰謝料について
よくテレビなどで「慰謝料1000万」などというような芸能人のニュースがあるが、あれは慰謝料ではなく、「財産分与」も含まれているものと思われる。
慰謝料の金額というのは、あらっぽい計算をするとするならば、結婚年数×20万 という試算も行われる。また、日本では離婚時の慰謝料が300万以下というのが多く、(平成元年ごろ・・離婚夫婦の80%以上)ゼロの場合もかなりある(30〜35%か)。
離婚原因のトップ「性格の不一致」では、一方が不法行為などで相手方に損害を負わせたわけではないので、慰謝料は取れない。ただし「性の不一致」(性格の不一致のうち、かなりの比率で性の不一致が認められる)で、いわゆるセックスレス状態が長期にわたって継続した場合は、慰謝料を取れる。
夫が妻に支払う場合が多いが、妻が浮気をふるったり、夫に対して暴力をふるうなどの行為があったり、セックスを拒み続けていた場合は、妻のほうから夫に慰謝料を支払う必要がある。
慰謝料の金額については、絶対コレという基準はなく、一切の事情を勘案して算定する。
目安としては、有責性の程度、慰謝料を請求する側の精神的、肉体的苦労の程度、慰謝料を請求する人の生活力(収入、職業、年齢、再婚の可能性など)、同様に、慰謝料を支払う人の経済力、婚姻までの経緯、期間、婚姻期間、子供の年齢、子供の環境など。そういったすべてを考えて決める。
B 財産分与について
例えば、夫が浮気をして離婚になった場合でも、夫は財産の半分は請求できる。有責配偶者であっても、これは問題ない。夫名義の財産でも、結婚後に築いた財産ならば、原則として半分に分ける。
どういうものが「共有財産=財産分与対象になるもの」かというと、預貯金、貯蓄型の生命保険、不動産、有価証券、ゴルフの会員権、リゾート施設の会員権、年金、退職金(退職に近い夫婦のみ。)などである。これに対して、「特有財産=財産分与の対象にならないもの」かというと、独身時代からの財産、夫婦の一方が経営している会社(会社には法人格がありいくら配偶者が経営していたとしても会社は独立した第三者とみなされる。
ただし、配偶者が株を持っている株式は対象になり、会社設立時に一方が出資金を負担していたときは財産分与の対象になる。)日用品、資格など。(ただし、一方の収入で、歯科医師、弁護士などの高収入が得られる資格を取得した場合は別。)
そのほか、相続財産なども「特有財産」であり、分与の対象とならない。
借金がある場合、一方がその負債を支払う義務はないが、相手の借金の連帯保証人になっている場合は離婚しても保証人であることには変わりなく、保証債務が残る。クライアントさんの中にも、夫の借金の連帯保証人になっていて自己破産に追い込まれる人もちらほらいて、無一文状態で離婚になっているケースもある
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不動産取得税、登録免許税は離婚の際に「分与した側が支払う」という合意書を交わしておけば、分与された側は支払わずにすむ。
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C 「公正証書」の活用
離婚に際して、慰謝料、財産分与のことを口約束にしないで、必ず「書面」に残すようにしてください。これを「離婚協議書」などと呼びます。
協議内容は、慰謝料、財産分与、親権、面接交渉権その他当事者に必要な事項すべてです。
ただ、本人同士の合意書は合法・適法がどうか不明であり、のちのち裁判沙汰になることがあり、また判決を経ないと強制力がありません。
判決にいたる手続きは手間・暇・少々お金もかかるので、強制執行認諾約款付「公正証書」にすることをお勧めする。
そもそも「公正証書」とは何かということがあまり知られていないが、「公正証書」とは「契約の成立や一定の事実を、公証人が実際に体験したり、または当事者から聞いて、それに基づいて公証人が作成する書類」です。つまり「公」に「正」しいことが「証明」されている書類です。
その「公正証書」の中に「強制執行認諾約款」(=強制執行をしてもいいですよ)という文言をいれておけば、金銭債権については強制執行が可能です。「公正証書」が金銭の一定額の支払いについてのものであり、強制執行認諾約款が記載されているものであればそれは「執行証書」呼ばれ、と「債務名義」の一つ(=強制執行を行うことを認める文書)になる。
行政書士として、この公正証書とどう絡んでいくかについて。
まず、クライアントさん(大体は妻)とその配偶者(大体は夫)の両者で話し合ってもらい、話し合いの内容を「離婚協議書」にしてもらう。この協議は、かなり時間がかかり、お金の支払いについては細部にわたり取り決めが可能。また、決める必要もある。
メインクライアントである30代前後のクライアントさんには、財産はあまりないけども小さい子供がいるケースが多いので、一番気になるのは養育費の問題。養育費は、調停などでは一人につき3万、というふうに一律で決めてしまうことが多い。
たしかに、現段階では夫も若く、支払い能力もなかったりするが、将来的には通常は収入も増えていくので、段階的に養育費を増額していく取り決めをあらかじめしておくことも可能。支払いの期日、方法、その他、細かいところまで決めておく人もいる。
養育費のほか、財産分与、慰謝料、親権、強制執行を受け入れるか否か、連帯保証人をつけるか否か(債務者側に打診する)について決めておく。
「離婚協議書」ができたら、公正証書作成準備にかかる。
公正証書を作成する際に必要なものは、「離婚協議書」(=合意内容)、当事者および連帯保証人が公証役場にいける場合は、委任状は必要ない。例えば、当事者同士が公証役場にいって公正証書を作成する場合(署名・捺印)は、私のやることは
1 「離婚協議書」、当人の運転免許証、パスポートのコピー、戸籍謄本 を公証役場に送る。
2 公証人からの意見をきく。OKであれば、公証人手数料と雑費の合計額を聞く。
3 公正証書作成日(公証人があらかじめ書面を作成しているので、当日は署名捺印のみ)
これで完成ということになる。
本人たちがいけない場合は、実印による委任状が必要。
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調停離婚
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「夫婦関係解消」または「円満調整」
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審判離婚
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調停離婚が不成立に終わって、場合によっては審判がなされる。2週間以内に異議申し立て可。
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裁判離婚
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調停不成立、審判にも同意しないとき。
<離婚事由>が必要・・・民法770条1項
・ 不貞行為
・ 悪意の遺棄・・「夫婦は互いに同居し、協力・扶助しあわなければならない」(752条)違反
・ 相手の生死が3年以上不明のとき
・ 婚姻を継続しがたい重大な事由(性格の不一致、性の不一致、暴力、虐待、宗教活動など)
・ 回復の見込みがない強度の精神病・・・統合失調症、早期性痴呆症、麻痺性痴呆症、躁鬱病、初老期精神病。たんなるアル中やヒステリー、ノイローゼなどは該当せず。治療の長期化、医師の診断、離婚後の生活保障などがある場合に離婚が可能。
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